長距離歩行(2004年9月23日)

09 January, 2004

昨日は代々木の道場で演武会。9月の演武会は暑い。道場だから狭ッ苦しくはないのだが、今年は30度を越すお天気だ。
前は、演武会は10月か11月だったのだが、他の大会の日程との関係で最近は早めになった。

今回は連休で他の行事と重なる為か、参加者は少なめの50人前後。これぐらいだと、準備や片付けも比較的楽なのだが、多い時は100人を超える時もある。演武の後、ビールや紹興酒をしこたま飲むが、かたっぱしから汗になって出て行く感じ。

あまり気を使うようなお客さんもなかったので、気心の知れた仲間内でさんざん飲んで、帰途に着く。11時過ぎだから十分間に合う筈だったのに、山手線で眠ってしまい、大幅に乗り過ごして横浜行きの終電に乗り遅れてしまう。
もともとノンベで宴会には慣れているので、あまりこういうことはないのだが、後輩連中と武道談義に花を咲かせていて、やや緊張感が薄かったせいか。

ここの道場は、ある古武術の専門道場で、その世界ではかなり有名なので、国内どころか諸外国からいろんな人が稽古に来る。昨日だってかなり地方の弟子、孫弟子が集まった。飲み過ぎで帰れなくなった時には、泊めてもらうこともしばしばあるのだが、そうなると睡眠時間や飲酒量に係わり無く、しっかりと朝稽古が待ち構えている(笑)。

東横線の終電に乗ったのは乗ったのだが、元住吉止まり。しょうがないなあ…と、タクシーの相乗り待ち合わせ場所へと向かう。ここは終電に合わせて、同じ方向へ帰る人を割安料金で相乗りで詰め込んで稼ごうという、不届きというか、まあ便利は便利なタクシーがタムロしている。

前だったらいつもこれに乗って帰るのだが、酔っ払っているせいか、ちと無鉄砲な考えが頭をもたげる。
(歩いたら何時間で着くかなあ……)ひっひっひ…。

じつはこれ、前にもやってみたことがあるのだ。似たような状況で、5駅ぶん歩いた。今は引っ越しているので、この時の距離の約3倍ぐらいかな…

古武道の稽古をしてると、昔の人と身体能力の差が歴然としていることに、いっつも情けなくなる。現代人はちょっと距離があると乗り物に乗るのが当たり前になっているし、あのバカバカしい革靴やヒールを常用しているので、足が退化している。
坐技などで「足の指で床を掴んで体を運べ」と言われても、足の指が固くて力がないので、うまくいかない。武道の先生たちはいとも簡単に、「こうするんだよ」と、しゃがんだままで横っ飛びに跳んだり後に飛びずさったりして見せるので、何十歳も年下の門下生達はしばし呆然としてしまう。特に古武道は難しい。一番感じるのは、足腰の力の差だ。

当たり前だといえば当たり前だけど、これではあまりに情けないし、少しづつ鍛えなきゃなあと思っていたところなので、もう一回挑戦してみることに。心配なのは、かなり酒気を帯びていることだが、酒気帯び稽古をよくやってしまうのは、私の周囲の世界の特徴。みなさんにはあまり真似して欲しくない、とか言いながら、自分では…(^^;)

さて、タクシー待ちの場を離れて綱島街道に出るが、汗をかくので水分補給のためコンビニに入って、お茶とスポーツドリンクと、序でにお握りとサンドイッチを買う。深夜のことで誰も見ていないのを幸い、少量づつ食べながら歩き出す。
しかし、前にこの道を歩いた時とはだいぶ趣が変わった気がする。約500Mごとに煌々とコンビニの看板が灯っている。明日は平日だというのに、どの店にも必ず客が入っている。ドライブインも営業してるし、ラーメン屋とか蕎麦屋も開いている。驚いたことに、若い女の子の一人歩きに3〜4回出くわした。

それでも、万が一の要心の為に、携帯電話と催涙ガスを取り出しやすいように確認して体勢を整える。ガスが古くなっているのにふと気づいて、いいチャンスとばかり橋の手すりに吹き付けてみる。川風が強いので、すぐに逃げ出せば刺激臭もそんなに追っかけてこないだろう。前に実験してみた時ほどの刺激臭はなく、顔を近づけても耐え難いほどではない。直接眼鼻に入らない限り、周囲に居る程度ではダメージは少なそうだ。そろそろ入れ替えたほうが良さそう…

綱島街道の表示で、横浜まで15キロとあったので、家まで20キロだなあ…。普段は1時間で7〜8キロジョギングしてるので、夜が明けてもいいや、ぐらいの気持ちでゆっくり歩けば、そんなに疲れないだろう。ジョギングと同じスースーハーハーの鼻呼吸に注意しながら快調に歩き続け、午前2時過ぎぐらいに、菊名に到着。

この付近に住んでいたことがあるので、土地鑑がない訳ではないのだが、どうもこの菊名山はうれしくない。小さな山で、この付近の高級住宅地なのだが、前に歩いた時に、線路づたいの道が深夜工事中で通行止めになっていたため、家を目前にしながらえらく遠回りをして、迷子になった思い出がある。息子はこの山の地理には詳しいのになー、など思いながら、上って行く。真っ暗な場所がけっこうある。
今更オバケなんかは怖くないけど、道の両側は緑の多いお屋敷が並び、高級車を何台も入れたカーポートがある。しかも、そこここで、私が前を歩いただけで急に防犯装置のライトが点滅する。しっかりカメラに映ってるのかなあ。何となく嫌なので、早めに山を下って線路沿いの道に出る。

1時間5キロぐらいの、私としてはかなりゆっくりめのペースなので全然疲れないし、途中でまた缶コーヒーを買ったりしながら行く。しかし、綱島街道を歩いている間は道順を考えなくてもよかったが、ここまで来ると、どうもよく分らない。
広い道路には表示があるのでいいけど、車を運転しないので、道の繋がり具合がイマイチ分らない。カーナビが欲しい。このぶんじゃあ、ちと遠回りしちゃうかもなあ…などと考えながら歩いているうちに、新聞店から配達の人が自転車やバイクで出動し始める。3時半だ、早いなあ…。
夜明けも近いし、もう歩いていても不自然な時間でもないのかな…と、一生懸命道を確かめ、バス停留所を参考にしながら、何とか横浜駅西口まで来る。

ここからはランドマークタワーを目印に行けば桜木町に出るので、もう迷うことはない…と、ここまで漕ぎつけたところで、このシューズでは長距離歩行は無理だったことが判明してくる。
ジョギングシューズならよかったのだが、スニーカーとは言っても普通の薄底のシューズなので、足の疲労がモロに出てきた。

姿勢が悪いと腰に来るので、なるべくへっぴり腰にならないよう、しかし、踵や足首に負担がかからないよう、ゆるゆると静かに着地する。まるで月面歩行か水中ウォーキングのような歩き方なので、速度がガクンと極端に落ちる。横浜から桜木町まで1時間以上かかってしまう。

線路づたいの、あの延々とアート落書きのある道を行くが、もう夜が明けて電車が走り出したのでこれ以上無理はすまいと、関内駅から乗って帰ることにした。横浜から関内駅まで歩くのはけっこう辛かった。せっかくここまで来たのに家まで完走しないのはもったいない気もするが、明日からまたすぐに稽古が待っているので、足にダメージを残したくない。下手に意地を張ってもつまんないし。

着ていたニットシャツに汗が染み出してるし、濃色なのでひょっとして塩を吹いてるかもなーと、なるべく人の居ない場所に座る。うちのマンションの管理人さんは早いから、めっからないように…と裏口からこっそり入る。午前6時。
やっぱり今日の条件では、快調に歩き続けられたのは2時間だった。ちゃんと歩行距離と時間を測って、1時間ごとに休憩を入れたほうがいいようだ。途中2〜3回、バス亭の椅子に座ってみたのだが、深夜のことなので、どうも何分もジーッと座っている気にならない。
何よりもシューズが大切だ。これから普段でも、もっと機能性の高いスニーカーにしたほうがいいかも…

お風呂に入って、腰と足の裏と足首に湿布薬をはって寝る。まあ何とか大丈夫そうだ。今日は休養日にして、ストレッチだけにしよう。今回の歩行距離は、地図で確認したら約16〜7キロぐらいか。大したことないなあ。
昔の人は、成人男性で一日に10里(40キロ)足弱(女、年寄)で6里(24キロ)が平均的な旅の距離だったそうな。スニーカーも舗装道路もなかったのに、エライ違いですねー、情けなや。

tao

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