シンクロの爪先(2006年9月16日の日記)

09 January, 2006

テレビをつけたらシンクロ水泳をやっていたので、何となく見ていたが、どうも、腑に落ちないことがある。

筆者はもともと、あんまりシンクロは好きではない。どんなに大変なスポーツであるかは、何となく又聞きで聞いてはいる。なので、あくまでも一般観衆の立場からの勝手な感想で言いたいことを言ってしまうと、まず第一に、あのくどい化粧が生理的に受け付けない。

衣装だって、あまりゴテゴテとデザインするよりも、動きをスッキリと大きく見せるシンプルなデザインのほうがいいと思うのだが、良い成績を取ったりすると、半端な有名デザイナー(矛盾?)が出てくるせいか、デザインに凝れば凝るほど野暮ったくなるような気がする。
結局は水着なのだから、限られた面積を不必要に飾り立てるよりも、動きによってどう見えるかの計算のほうが効果的な気がするし、こういうところで、デザイナーの主張はいらないと思う。

次に、最近の傾向として、ワイルドな表現が多用されるようだが、もともと、ああいうメリハリ路線というのは、目新しいうちは趣向を変えるのによかったかもしれないが、こんなに多発すると、少々ゲップが出てくる。
水中のチームダンスというような見方をしてみても、水中では動きが制約され、重力を利用できないせいで、通常のダンスのような切れのある動きは期待できないのだから、水中なりのメリットを追求したほうがいいと思うのだが。
変わった雰囲気がよかったのは、日本チームが空手だかお祭りだかの振り付けで出てきた時ぐらいで、あの後、アニマル路線が多くなってからは、シンクロが美しいと思うことが少なくなってしまった。

もともと、水の中で水着一枚で、体の生の線をまったく隠すことのできない状態では、美しく見えるポーズはバレエ系の一部のポーズに限られると思うのだが、最近はやたらにゲテモノっぽいポーズが増えたようだ。肉食動物が食ってかかるような威嚇のポーズなんて、こんなに頻繁に見せられると、少しうんざりしてしまう。
バレエだって物語にあわせて衣装をつけて、衣装に合うような動きをするのに、裸同然のスタイルで、どんな格好でもいいから、難易度の高いポーズをすればいいというものではないと思うが。
ガニ股ポーズなんて、HIP HOPでもあまり格好よくないと嫌う人がいるくらいなのに、シンクロでガニ股で跳び上がるってのはねェ……ハッとさせるスパイスの域を逸脱して、ゲテモノ路線に行ってるような気がして仕方がない。
HIP HOPのガニ股は、あれはあれでダブダブパンツを計算に入れた動きだし、みんなわりと、この振りやダンススタイルは自分にあうかどうか?って、見えない部分で工夫して考えてますよぅ。音楽や自分の感性はもちろんのこと、服装や髪型、自分のキャラまで含めてのダンスですからねェ。

それに関連してるのかしてないのか、これが一番強く感じていることなのだが、なぜ、シンクロ水泳はみんな、足の爪先をあんなにきつく握り締めるのだろうか?

足だけを水上に出している時、ほとんどの選手が足の爪先をきつくきつく、本来曲がる方向とは逆の方に反らして、まるで足の裏で水をすくえそうなぐらいにギュッと握っているのを見ると、気になって仕方がない。
筆者はダンスをかじっているが、足先を伸ばした形(ポイントと言う)は、爪先はギュッと握らず、スッと伸ばすように言われる。手はなおさらだ。手足の末端に力が入っていると美しくないのは、バレリーナが手をスッと伸ばした時に指先がカチンカチンだとどう見えるか、想像しただけで分かるのではないだろうか。
筆者がストリート系ダンスやクラシックバレエの真似事をしているのは、こういう意識の持ち方が武道に役に立つからだ。指先をスッと伸ばせば、長く見えるし、それは周囲の空間から観客までも、自分の踊りの中に取り込む意識につながる。単に柔軟性の問題ではない。剣や杖を振る時も、このような意識を持っていると、ぜんぜん振りが変わってくる。

水上に出ているシンクロ水泳の足の爪先というのは、バレリーナの手の指先のようなものだと思うのだが、あれほど身体能力に磨きをかけた選手の足が、あんなにカチンカチンに力を入れまくった形で水上に出て注目を集めているのは、どうも不思議で仕方がない。
あれを「凄い」と思うことはあっても、美しいと思えるのが分からない。緊張しまくった爪先を見せられても、息苦しくなってしまうだけだ。
筆者が知らないだけで、あれはあれで理由があるのだろうか?
それとも、シンクロの演技というのは、水上の自分の足先だけを世界中が注目していると言うのに、足先の形に意識を向けることができず、とりあえず力一杯に反らすことしかできないほど、苦しくて余裕がないのだろうか?

シンクロに限った話ではないが、単に足をまっすぐ伸ばすということがどんなに大変なことか、皆さんも実際に経験してごらんになると、びっくりすると思う。そういうレッスンをしていないほとんどの人は、寝そべって足を上に上げた時、完全に足を伸ばしきることはできないと思う。だから、選手があそこまで足が使えるのは凄いことなのだが、あそこまでできるならば、何故スッと爪先を伸ばす選手がいないのだろうか?顔の表情作るよりも、爪先伸ばしたほうがずっと美しいと思うのだが…

筆者は本当に門外漢なので分からないのだが、門外漢としては、ホントにああいう足は見たくないですねェー。なので、テレビのスイッチは切ってしまって、ダンス映画のDVDでも見ます。

最近見た中では、サルサ系だけどchayanne(チャヤン)とヴァネッサ・ウィリアムズの出る「ダンス・ウィズ・ミー」がとても楽しめました。同名でパトリック・スウェイジの出るバレエ映画と間違えないようにして下さい。
普段はラテンは苦手なんですが、この映画はUSA版「Shall we Dance?」なんかよりも遥かに楽しい、ダンス映画の王道です。

tao

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