恵方巻きにひとこと言いたい

21 December, 2009

歳が変わると、いろんなものが変わる。はっきりと変わるのは暦だが、干支暦では立春を境に、暦が変わる。

干支暦には、歳徳神というものがある。関西では、この歳徳神に関して珍妙な慣わしがあるそうだ。いわゆる、恵方巻きである。


少し前までは「関西では、節分にみんな同じ方角を向いて巻寿司を食べる習慣があるんだよ」と聞いて、「そんな妙ちくりんな」と大笑いした。あまつさえ、その光景を想像しただけで、万が一、関西に住む羽目になったら、絶対に郷に従う気にはならないな…と、つい思ってしまったというのが、正直なところだ。

しかし、昨今では関東のコンビ二まで、この「恵方巻き」が登場して、その商魂の逞しさに辟易している。幾ら販促とはいえ、みっともないもの売るなあ…と思ってしまい、ささやかな抵抗として、このような節操のないものを売っているコンビ二では、買い物しないようにしている。

クリスマスと言い、この恵方巻きと言い、とにかく日本人の宗教的な事に対する節操のなさは、我ながら恥としか思えない。しかし、その根本的な理由には、筆者なりの考えがあるので、また別の機会に譲る。

それにしても、いったい恵方巻きとは何か?
Wikiの説明によると、こういうことらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%B3%E5%BE%B3%E7%A5%9E

私はまったく興味がないので、細かい部分まで読む気もせず、方位の区分けなどの細かい部分は放っておくことにするが、少し自分なりに気になることを発見した。

上記URLより抜粋
「歳徳神の在する方位を恵方(えほう、吉方、兄方)、または明の方(あきのかた)と言い、その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。本命星と恵方が同一になった場合は特に大吉となる。しかし、金神などの凶神が一緒にいる場合は凶方位になる。」

上記の「本命星と恵方が同一になった場合は特に大吉となる」の記述だが、気学家はこれを見たらたぶん「???」と思うに違いない。

一見便利なようで、けっこう落とし穴の多いWikiなのだが、これは完全に、半可通が聞きかじった結果の記述ミスだと思う。

前提として、「その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。」とあるので、歳徳神の座す方角へ移転や旅行をするとか、その方角の会社へ就職するとか、或いは神社仏閣へお参りに行くとか、もっと小さくはその方角を掃除するとか、お花を飾るとか、頭を向けて寝るとか、いわゆる気学の「方位を使う」と、同義語だと思う。
もし同義語ではないとしても、そう取られても不自然ではない言い習わしだと思うので、筆者が勘違いしていたとしても、責任は取らない。
気になるのは以下の部分だ。

その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。

本命星と恵方が同一になった場合は特に大吉となる。

こうなると、本命殺方位に向かって事を行っても差し支えない…どころか、本命殺方位が特に大吉になってしまう。
これは本来、以下の意味ではないかと思うのだが、如何?

本命星の座す方位と恵方が同一になれば、その本命星には吉意がある。
or
本命星にとっての相生方位と恵方が同一になった場合は、その方角に向かって事を行えば特に大吉

どの時点で間違ってしまったかは知らない。しかし、人の言い習わしには真実があると思う反面、口づてというものは、原型をとどめないぐらい元とは違ってしまうことも少なくない、ということを十分に知っている筆者は、全く恵方巻きが信用できない。
ましてやそれが、巻き寿司を売る商売と結びついている以上、そんな宣伝に乗せられる人が情けないだけ、としか思えない。

「その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。」
であるから、その吉事を実行するのは大いに結構。
それならば、大騒ぎして恵方巻きなんか食べるよりも、その方角に向かってお経や祝詞をあげて神様にご挨拶するとか、或いはその方角の神社仏閣にお参りに行くとか、せめて、その方角をお掃除するほうが、ずっと理に適っていると思うのだが、関西人の方々、如何でしょうか?

tao

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